目の汚れを落とすために、専用の洗浄液や水道水、目薬などを使って目を洗っている、という方も少なくないでしょう。しかし、最近では、目を洗うことのデメリットが明らかになってきました。ここでは、そのデメリットとどうしても目を洗いたいときに使える方法についてご紹介します!



目を洗うならどんな方法がある?



目にゴミが入ったとき、髪を洗っているときにシャンプーが目に流れてきたときなど、誰しも目を洗いたくなる瞬間はありますよね。このように目に異物が入ったときは、蛇口の水を出しながら両手にためた水のなかでまばたきを繰り返して洗います。また、シャワーの水流を弱くしてから下に向け、顔をめがけて水を出しながら目を広げて洗う方法もあります。いずれも水道水で洗う方法です。

ドラッグストアでは、目を洗うことを目的としてつくられた専用の洗浄液も売っています。洗浄液を使ってパチパチとまばたきをした後、汚れが浮いているのが見えたときは汚れがとれた気がしてすっきりします。

また、目薬を大量にさして汚れを流し出す方法もあります。目薬は目に対する刺激が少ないため、たくさんさしても大丈夫!と思っている方もいることでしょう。

これらの方法は、果たして目を洗う方法として正しいのでしょうか?次に、目を洗うデメリットについて考えてみましょう。



目を洗うと失われる必要な涙や油分



先述のとおり、目を洗うことにはデメリットがあります。

「涙は赤くない血」と呼ばれていることをご存じでしょうか?赤血球や白血球、血小板を含んでいない涙は透明ですが、血液と同じ成分からできています。血液は栄養を体に運ぶ役割があるため、体に必要な栄養がたくさん流れています。目を水道水や洗浄液、目薬で洗ってしまうとその涙に含まれている栄養素も流し出されてしまうのです。

また、目の表面には角膜がありますが、とても薄く傷つきやすいためその表面を涙が保護しています。涙は内側の液体と外側の油の層に分かれていて、まばたきにより目の表面全体に広がります。外側の油の層は、水分の蒸発を防いでくれる役割があります。

そして、まばたきをするときに、まぶたと目の表面の摩擦を和らげる働きをしてくれるのが「分泌型ムチン」、その内側にある水分を目の表面全体に行き渡らせる働きがあるのが「膜型ムチン」と呼ばれるものです。洗浄液で目を洗ったときに浮いている汚れの正体が、このムチンです。目にとって必要な成分であるため、本当は汚れではありません。

目を洗うことによって涙が失われてしまうため、「目を洗うことにはデメリットがある」と言われているのです。



ゴミが入ったときなど、洗うのは必要最低限に!




とは言え、目にゴミが入って痛みで目を開けていられない!というときは、すぐに洗い流さなければいけません。

ただし、必要以上にゴシゴシこすったりせず、手のひらにためた水中でまばたきを数回繰り返すだけにとどめておきましょう。まぶたや顔に汚れがついているときは、目を洗う前に汚れを落としてください。

洗剤などの薬剤の場合は、「目に入ったら15分以上洗眼してください」との表記があるものが多いです。しかし、目を洗ったからと言って完全に薬剤が取り除かれたわけではありませんので、必ず眼科を受診しましょう。



どうしても洗いたいときは生理食塩水がおすすめ



普段から、花粉やほこりに触れる機会が多く日常的に目を洗いたいと思う方もいるかもしれません。そんなときにおすすめしたいのは、生理食塩水です。生理食塩水は人間の体液と同じ塩分濃度のため、目にしみることはありません。防腐剤も入っていないため、安心して使うことができます。

特に花粉がひどい時期は重宝するでしょう。ただし、防腐剤が入っていない分、早く使い切ってしまわないと液体が腐ってしまいます。早めに使い切ってくださいね。



今回は目を洗う方法とその必要性やデメリットについてご紹介しました。目を洗っても異物感がなくならない場合や、かゆみ痛みなどの症状が改善されない場合は、すぐに眼科を受診してください。
 


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